64歳女性 主人からの最後のプレゼント

私は、主人を癌で亡くして、もうじき8年になります。主人は癌と宣告されて、たったの50日で天国に逝ってしまいました。主人を亡くしてからは、1人暮らしをしています。寂しい毎日ですが、主人からプレゼントされた財布を見るたびに、主人との楽しかった生活を思い出しています。この財布は、主人が癌になる前、最後の旅行をした時に主人からプレゼントされたものです。いつも年末になんか人がごった返すから旅行なんて嫌だと言っていた主人が、その歳は、仕事も1段落着いたので伊豆に旅行に行こうと誘ってくれました。年末年始を旅館で過ごすなんて夢のようでした。いつもは、主人の実家に出向いて、お姑さんのご機嫌取りをするのに、その年に限って、たまには2人でのんびりと過ごそうと言ってくれました。宿も主人がネットで頼んでくれて、3泊4日の豪華な旅でした。いつもなら、おせち料理に追われて、年末年始と言えば、疲れ切ってしまうのに、こんなご褒美の旅は、私にとって本当に幸せなことでした。旅行の最後の日に、御殿場のアウトレットに行きました。アウトレットは、思った以上に人がいっぱいで混雑していました。初めて、アウトレットに行ったので、人の多さと品物の多さには本当にびっくりしてしまいました。主人が好きなものを買ってくれるというので、思わず、財布が欲しいと言いました。せっかく買うのだから、ブランドの財布にしようと思いました。そこで見つけたのが、オレンジ色のCOACHの長財布でした。財布くらい、ちょっと派手なのでも良いかと思いました。普段の服装もあまり派手な色を着ないのですが、財布なら、明るくていいかなと思いました。旅行から帰って、さっそくこのCOACHの長財布を使い始めました。主人からプレゼントしてもらったと思うとなんか余計に嬉しくなりました。その年の12月に主人は帰らぬ人となってしまいましたが、今もこの財布を大切に使っています。思い出のいっぱい詰まった財布は、これからもずっと大事に使っていきたいと思っています。

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